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脊髄硬膜外腫瘍を思わせた胸椎原発の良性骨芽細胞腫の1症例
松本 光弘荻野 幹夫浅井 春雄小杉 雅英瀬川 満斎藤 隆松本 仁志
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1992 年 46 巻 8 号 p. 654-656

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抄録

良性骨芽細胞腫は, 脊椎・長管骨に多く発生するまれな腫瘍である. 背部痛が生じ, 両下肢麻痺が急速に進行し, MRI上胸髄硬膜外腫瘍と診断した小児に, 早期に手術を行ったところ, 著明に症状が改善した. そして, 組織診断で, 良性骨芽細胞腫であった症例を経験したので報告する. 症例は, 9歳女児, 背部痛が生じ, 4週後, 両下肢不全麻痺になった. 徒手筋力検査で, 両下肢筋力は, すべて4であった. 第6胸髄神経以下の領域で, 知覚が低下していた. 両膝蓋腱反射・両アキレス腱反射が低下していた. MRI 上, 第4胸髄から第7胸髄にかけての硬膜外腫瘍と診断した. そして, 椎弓切除を行って, 第5胸椎椎弓から発生し, 胸髄を後方から強く圧迫している硬膜外腫瘍: を切除した. 術中所見からmeningiomaを疑ったが, 組織診断で良性骨芽細胞腫であった.

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© 一般社団法人国立医療学会
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