医療
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プロリダーゼ欠損症の1例
―15年の経過報告と植皮術の有用性について―
野上 玲子前川 嘉洋
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1994 年 48 巻 11 号 p. 970-973

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抄録

プロリダーゼ欠損症としてすでに報告された46歳女性例について1978年(32歳)の初診から約15年にわたり観察中であり, QOLを著しく障害する下腿潰瘍の治療経過を中心に報告する.
両観はいとこ婚で, 兄, 従姉に同症をみる. 幼児期より下腿潰瘍を繰り返し, 両眼隔離, 鞍鼻, 下顎骨形成不全による特異な顔貌など種々の異常を有し, 尿中に多量のジペプチドを排泄し, 赤血球プロリダーゼ活性を欠くなどのプロリダーゼ欠損症の特徴を備え, 知能障害や躁鬱病症状, 脂肪肝を合併している. 潰瘍は保存的治療に抗し, 従来治療効果が報告されているL-プロリンのほかDDS, 副腎皮質ホルモン内服, 5%プロリン・グリシン軟膏外用は無効で, 頻回の植皮術のみが潰瘍の縮小に有用であったが, 潰瘍の新生を阻止できず, 根治的方法として潰伝子治療への展開が期待される疾患の一つと考える.

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