1994 年 48 巻 11 号 p. 965-969
387名の妊婦に対し第二世代HCV抗体の検索を施行し, 6名(1.55%)が陽性であった. このうち5名がHCV-RNA陽性であり, いずれもGPTは正常値であり, さらにそのうち4名が当院で分娩となった. 4例とも臍帯血ではHCV抗体は陽性で, HCV-RNAは陰性であった. その後の児の検索から陽性抗体は母体からの移行抗体と考えられ, 母児感染の成立は認められなかった.
現在, C型肝炎の母児感染の予防は不可能と考えられるが, 妊婦に対しHCV抗体スクリーニングを施行することは, 1)無症候性キャリアの早期発見, 2)垂直感染児の肝疾患の早期発見, 3)医療従事者の二次感染の予防, の三つの意義があると思われた