医療
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慢性自律神経障害患者の入浴時低血圧の検討
小長谷 正明藤田 キヨ子奥田 艶子武藤 正子飯田 光男
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1994 年 48 巻 12 号 p. 1070-1073

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抄録
自律神経症状を伴う神経変性疾患のQOL阻害要因を検討する目的で, 入浴における血圧変動を検討した. 19例の慢性神経疾患のうち多系統萎縮症(MSA)3例, 遺伝性脊髄小脳変性症1例, パーキンソン病, ALS各1例名で入浴直後に, 収縮期血圧が38mmHg以上の明らかな低下がみられた. さらにMSA5例とパーキンソン病1例で40℃と45℃の水温で収縮期血圧の低下の程度を比較したところ, 水温45℃での低下が40℃の場合より3例で著明に, 1例で軽度に強かった. 40℃の場合のが45℃より低下したのは著明と軽度がそれぞれ1例であった. 以上より以下の結論を得た. 1)自律神経障害の強い患者では入浴後に著しく血圧が低下する. 2)湯温が高いほうが血圧変動は大きい症例が多く, 温めの温度で入浴する方が安全である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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