1994 年 48 巻 5 号 p. 368-370
VPシャントのある5歳男児で, 遷延性の難治性下痢が持続した症例を経験した. 下痢の原因を検索したが異常所見は認められず, シャントチューブを腹腔外へ抜去したところ, 下痢の症状は改善した. VPシャントチューブの直接的な機械的刺激が, 遷延性下痢の原因であると思われた. VPシャント後合併症のうち, 腹腔側に由来するものとして, シャント感染, チュンブの屈曲・閉塞, 腹腔内の嚢胞形成, 腹水貯留, 臓器穿通などが報告されているが, VPシャントの合併症として, これまで遷延性下痢の報告はなく, きわめてまれな症例と思われた.