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一側水腎症によるレニン依存性高血圧症の1例
影山 洋山本 正小松 崎修
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1994 年 48 巻 5 号 p. 388-392

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抄録

腎孟尿管移行部狭窄による水腎症でレニン依存性高血圧症をきたした1例を報告する. 症例は39歳女性で健康診断で高血圧を指摘され, 降圧剤を投与されたが, 血圧の下降がみられず, 精査のため紹介された. 血圧210/140mmHgで血漿レニン活性は上昇していた. エコー. CTスキャンでは左の高度な水腎症がみられた. 大動脈, 腎動脈の血管造影では動脈硬化所見, 狭窄はみられず, 左腎静脈のレニン活性は10.7, 右腎静脈のレニン活性は3.8ng/ml/hrであり, 左水腎症によるレニン依存性高血圧と診断した. 左腎摘出により血圧は正常化し, レニン活性も正常化した. 摘出した左腎は重量2500gで腎孟から尿管へかけて尿管の菲薄, 狭小な部分が約1cmにわたって認められた. 左腎の水腎症が何らかの機序によりレニン分泌の亢進をきたし, 高血圧を発症させたものと考えられた.

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