抄録
循環器専門施設の乱立的過剰と, それによって生じた多くの施設の弱小状態がみられた. 弱小状態は集中治療病床とその専門看護婦の不足, 診療実績の少なさに現れている. 施設毎の症例数が, 大学など以外の施設では, 専門的熟練度の維持に必要な適正数にはるかに及ばない. 大型機器, 専門医の配置も不足している. 施設配置の指標として症例数が最も重要であり, 施設当たり最低, PTCA年80(週2)例, CPB年80(週2)例が望ましい. 人口100万当り1施設の配置でこの条件に適う. 最低基準への公的誘導措置が必要である. 心臓の侵襲的検査・治療の施行には内科と外科の併置が望ましい. 専門医療チームの最小単位として, 独立遂行能力ある専門医師2名と研修途上の医師2名が望ましい. 臨床重視型の専門医制度の進展を期待したい, ICUは人力の点で重大な支障があり, 殊に看護婦数は基準のほぼ半数にすぎない. 基準への到達と未承認病床の解消への努力が急務である.