医療
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肺梗塞を合併した, S状結腸癌の再発性巨大嚢胞状腫瘤の1治験例
田中 雄二村上 勝大石 俊明中村 昌樹高橋 元一郎長谷川 進一
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1994 年 48 巻 6 号 p. 443-446

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抄録
術後1年目に嚢胞状の局所再発を来し, 肺梗塞の合併により, 下大静脈内に肺梗塞防止フィルターを留置し摘出術を施行したS状結腸癌の1治験例を報告する.
症例は63歳女性. 1989年12月S状結腸切除術を施行後, 90年12月右下腹部に小児頭大の腫瘤を触れ, 翌年1月入院となった. 精査のため施行した腹部血管造影検査の翌朝肺梗塞を併発した. 肺血流シンチでは右中葉に梗塞所見を認め, 静脈造影では右外腸骨静脈内に壁在血栓が存在し, 中枢側は腫瘍により圧排されていた. 手術操作にともなう血栓遊離の可能性を考え, Greenfield下大静脈フィルターを留置後摘出術を施行した. 開腹時, 腹膜播種やリンパ節腫大はなかったが, 嚢胞状腫瘤は組識学的にS状結腸癌の局所再発と診断された. 症例は肺梗塞の再発を認めなかったが, 再手術後22カ月目に肝転移により死亡した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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