抄録
食道アカラシアの治療の現況を概説した. 拡張術と手術法の優劣に関しては依然議論の分かれる所であるが, 一般に拡張術に合併症, 死亡率が高い. 適応を選び, 選択する必要がある.
手術療法ではHellerの粘膜外筋切開術が基本であるが, 開胸か開腹については諸外国では開胸の割合多く, わが国では開腹が多い.
また, 何らかの逆流防止の付加手技が効果があるかについては結論が出ていないが, Heller変法に胃底部形成術は腹部食道の延長効果で, 術後の逆流性食道炎の発生頻度が低いという報告が多い.