東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P050
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大腿骨近位部骨折患者と一般高齢者における身体機能の違い
段差昇降能力に与える影響
*古屋 尋子野村 知未大場 文紗子河村 純奈松山 太士田中 実希矢崎 進
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抄録
【はじめに】 臨床において、大腿骨近位部骨折を起因として段差昇降が困難となるケースを多く経験する。本研究では、段差昇降に必要な能力を知る為に大腿骨近位部骨折患者と一般高齢者を対象に段差昇降の可否、下肢筋力、立位バランス能力を調査したので報告する。 【対象】 大腿骨近位部骨折にて骨接合術又は骨頭置換術を施行した67~88歳の女性10名、70.3±6.5歳(以下、骨折群)と下肢骨折及び変形疾患のない65~80歳の女性7名、76.2±6.1歳(以下、一般群)を対象とした。受傷前に段差昇降困難であった者、円背の強い者は除外した。 【方法】 骨折群は退院時の状態を把握する為に退院前1週間以内に測定した。段差昇降課題は、高さ20cm3段を使用し、2足1段にて連続昇降が可能な場合を可能、連続昇降が困難な場合と手すりを使用した場合を不可能と判断した。下肢筋力測定は、オージー技研筋力測定器GT-300を用い、股関節屈曲・伸展・外転、膝関節屈曲・伸展の各運動方向で最大努力による10秒間の等尺性運動を2回試行し、最大値を体重で標準化したものを採用した。立位バランス能力は、Functional Reach test(以下、FR)を2回測定し、最大値を採用した。以上の項目を、一般群と骨折群、及び全対象者を段差昇降能力の可否で群分け(以下、可能群、不可能群)し、Mann-Whitney U検定にて比較した。 【結果】 段差昇降課題は、可能群10名(内、骨折群3名)、不可能群7名(全員骨折群)であった。下肢筋力は、一般群と骨折群では股関節屈曲(0.66±0.21N・m/kg、0.42±0.19N・m/kg)、伸展(0.68±0.29N・m/kg、0.27±0.20N・m/kg)、外転(0.49±0.13N・m/kg、0.29±0.17N・m/kg)に有意な差を認め、可能群と不可能群では膝関節屈曲(0.46±0.27N・m/kg、0.22±0.07N・m/kg)、伸展(0.65±0.15N・m/kg、0.39±0.22N・m/kg)で有意な差を認めた。FRは、一般群と骨折群では有意な差を認めなかったが、可能群と不可能群では有意に可能群のリーチ距離が大きかった。 【考察】 骨折群の約70%が段差昇降能力を獲得出来ておらず、退院時の段差昇降能力は低いため積極的なアプローチが求められる。結果からは骨折により股関節筋力の低下を生じることがわかるが、段差昇降能力にはさらに膝関節筋力が重要といえる。FRにおいて可能郡と不可能群で差があったことから段差昇降には立位バランス能力が必要であり、不可能群は転倒のリスクが高くなると言われるカットオフ値15.3cm付近の値をとることから再転倒のリスクがあると考えられた。以上より、骨折により段差昇降が困難となる理由は股関節筋力の低下だけでなく、膝関節筋力と立位バランス能力の低下も関与すると考えられた。
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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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