医療
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局所皮弁を用いた脊髄髄膜瘤の2手術例
矢野 健二松尾 由紀児玉 安紀堀田 卓宏河野 宏明細川 亙
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1997 年 51 巻 3 号 p. 130-133

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抄録

脊髄髄膜瘤は, 放置すれば容易に感染を生じ, 残存している神経機能の悪化を招くため, 原則として24時間以内, 遅くとも48時間以内の閉鎖手術が行われるべきである. その際髄膜瘤還納術後に生じる皮膚欠損が小さければ, 皮下を広範囲に剥離することにより一期的縫縮が可能である. しかし, 欠損部が大きくなれば, 一期的縫縮は困難であり, 形成外科的手技が要求される. 局所皮弁による閉鎖法としては, 伸展皮弁, 双茎皮弁, 横転皮弁, 回転皮弁, 菱形皮弁などによる方法が報告されている. 今回われわれも一期的縫縮が困難な脊髄髄膜瘤を2症例経験し, 菱形および横転皮弁で修復することにより皮膚欠損部を完全に閉鎖し得た. とくに合併症もなく良好な結果が得られたことにより, これらの局所皮弁による再建は, 中等度から高度の脊髄髄膜瘤には有効な方法と思われた.

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