1998 年 52 巻 4 号 p. 226-232
カルシウム(Ca)代謝異常症は, 概してまれな疾患と認識されているが, 高Ca血症や低Ca血症は, 一般の外来や病棟においても実はかなりの頻度で存在し, また一見関連のないさまざまな病態に合併して認められることもある. しかしながら, Ca異常に特有の症状がなく, また自覚症状を欠く症例も多いことから, 血清カルシウムを測定する習慣が診断への足がかりとなる. 本稿では, Ca・骨代謝の分野における最近のめざましい研究成果を紹介しながら, Caホメオスタシス・骨代謝の基本的な仕組みについて概説した後, 日常診療における血清Ca測定の意義とその正確な評価に関する実際的ポイントを整理する.