医療
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筋萎縮性疾患における総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比に関する研究
―汎用性のある酵素法を用いて―
藤田 幸久陣内 研二扇谷 茂樹森鼻 文朗小林 浩子石原 正光
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1998 年 52 巻 4 号 p. 237-241

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抄録

分岐鎖アミノ酸(BCAA)/チロシン(Tyr)モル比(BTR)が有用な肝代謝機能検査として実施されているが, 他の臓器でもこれらBCAAやTyrは代謝に関与しておりその関係は不明なところが多い. 今回, 筋萎縮性疾患のBCAA, TyrおよびBTRを測定し, 統計学的に健常者との比較検討を行ったところ, Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)患者群が他の筋萎縮性疾患や健常者に較べてBCAAとTyrが低値傾向を示した. またDMD患者についてstage分類と体重, Body mass index (BMI)に対するBCAA, TyrおよびBTRの関係を検討したところ, DMD患者の血清中Tyrが体重とBMIに有意な相関を認め, DMDの筋萎縮度とTyrの関係があると考えられた. 肝代謝機能検査目的でBTRを行う場合, BCAAとTyrの代謝に関与する疾患や薬物投与に注意を要する.

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© 一般社団法人国立医療学会
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