医療
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なぜ気管内チューブトラブルが起こるのか
―発生頻度およびその原因―
濱中 紀子竹田 清大住 壽俊田村 栄稔大川 恵渋谷 博美
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1998 年 52 巻 4 号 p. 242-245

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抄録

全身麻酔症例7174例を対象に, 気管内チューブに起因するトラブルについて, Retrospectiveに検討した. チューブトラブルは, 59例(0.8%)にみられた. 内訳は, (1) 挿管時の歯牙接触などによるカフ漏れが22例(37%)で最も多く, (2) 頭位変換による気管壁へのチューブ先端の接触および (3) 分離肺換気中の気管支内チューブのスリップアウトによる換気不全が各9例(15%), (4) 乳癌患側上肢によるチューブの圧迫・折れ曲がりが5例(8%), (5) チューブカフの変形・気管内腔への脱出による気道閉鎖が3例(5%), その他11例(19%)であった. いずれの場合も注意深い挿管操作に加え, 術中の頭位・体位に配慮することにより防止できるものと考えられた. また特殊気管内チューブの場合, それぞれの特徴を理解することにより, チューブトラブルは回避可能と考えられた.

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