1998 年 52 巻 4 号 p. 246-252
血圧のコントロールの良否と心血管事故の発生率の関係を検討するために, 国立療養所循環器研究会に所属する13施設に登録された526人の高血圧患者を, 5年間の前向き試験によって検討した. 心血管合併症の既往のある患者を除いた283例を最終的に統計解析の対象とし, 5年間で17人(6%)の心血管事故が観察された. 収縮期血圧・拡張期血圧の高い群で心血管事故の発生率が高く, また血清クレアチニン値は5年間で有意に低下していた.
この5年間で11人の癌発生がみられたが, Ca拮抗薬を使用していた群の方が, 使用していない群に比して有意に癌発生率が低く, 相対危険度は14%であった. これについては, 現在再調査を終え, 解析中である.