抄録
我々は発症早期のアルツハイマー病におけるMRIの形態学的特徴に関して検討した. アルツハイマー病を軽度痴呆群(12例)と中等度痴呆群(12例)の2群にわけて, 頭部MRIによる側脳室下角体積および海馬体積を健常者(14例)と比較した.
軽度痴呆群は健常群に比べ側脳室下角体積が大きかったが, 海馬では差がなかった. 軽度痴呆群と中等度痴呆群で側脳室下角体積で差がなかったが, 海馬体積は中等度痴呆群が軽度痴呆群に比べ小さかった. 中等度痴呆群は健常群に比べさらに側脳室下角体積が大きく, 海馬体積が小さかった. したがって, 発症早期のアルツハイマー病の補助的診断として, 海馬よりも側脳室下角のほうが有用であることが示唆された