医療
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ケモカインと好酸球
藤澤 隆夫
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2000 年 54 巻 2 号 p. 73-78

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抄録
近年, 走化性サイトカインであるケモカインが次々と発見・同定され, 多様な生物活性が明らかにされてきている. 好酸球はケモカインレセプターCCR3を発現するが, これに結合するCCケモカイン群が遊走をはじめとした好酸球の多くの機能を誘導する. なかでもEotaxinがもっとも重要であり, 実際にEotaxinがアレルギー疾患の炎症組織で発現が増強していること, その程度が好酸球浸潤や疾患重症度に相関することが知られている. Eotaxinの主な産生細胞は上皮細胞や線維芽細胞で, Th2型のサイトカインにより産生が誘導され, Th1型のサイトカインにより抑制される. eotaxinは強力な好酸球遊走活性のほか, 骨髄系前駆細胞の分化促進, 骨髄からの好酸球動員, 好酸球と血管内皮細胞との接着亢進, 脱顆粒, 活性酸素産生など広範な作用を有し, アレルギー炎症における「キープレーヤー」といえる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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