抄録
難治性気分障害の診断と治療をうつ病を中心に概観した. 難治性うつ病は, 十分な量の抗うつ薬を十分な期間用いても反応を認めないものと定義されることが多い. 最近の画像診断技術の進展により, 難治性うつ病では側頭葉を中心とする大脳皮質の萎縮や皮質下小梗塞をともなうことや, 脳血流の低下を示すことが多いと報告されている. 難治性うつ病の治療には別の作用機序の抗うつ薬への切り替え(切替法)や抗うつ薬の効果を強める薬物の追加(増強法)が用いられている. また, 電気けいれん療法は難治性うつ病の治療にかなり有効である. 今後の課題としては, 治療アルゴリズムに基づいた前向き研究により難治性うつ病の治療法の検討をする必要がある.