抄録
【目的】地域在住自立高齢者における口腔機能と健康関連QOLについての関連性を検討することである.【方法】C県在住の65歳以上の地域在住自立高齢者を対象とし,質問紙調査および身体機能評価を実施した.基本属性,BMI,基本チェックリストによる口腔機能評価,QOL(SF-8:身体・精神サマリースコア),Timed Up and Go Test(TUG)について調査した.【結果】回答が得られた194人に対して,口腔機能低下群と口腔機能非低下群に分け比較した.口腔機能低下に関連する変数として,ロジスティック回帰分析により,SF-8身体サマリースコア(OR=0.927,95%CI:0.863-0.997)が検出された.また,多変量解析において口腔機能に関するSF-8下位項目投入の結果,「身体機能(PF:Physical functioning)」(OR=0.929,95%CI:0.879-0.982)が抽出された.【結論】口腔機能と身体的健康関連QOLおよび下位項目との関連性が明らかとなり,誤嚥予防の観点からも,地域在住自立高齢者に対して,口腔機能とQOLとの関連に着目する必要性が示唆された.