日本温泉気候物理医学会雑誌
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原著
放射能泉の水中ラドンによる被ばく線量評価
—三重県内の温泉利用施設におけるケーススタディ—
森 康則出口 晃美和 千尋岩崎 靖鈴村 恵理前田 一範浜口 均島崎 博也水谷 真康田中 紀行川村 陽一
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2013 年 76 巻 4 号 p. 255-262

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抄録
  温泉法や鉱泉分析法指針(改訂)により、水中ラドン濃度74Bq/kg以上の地下水が温泉、111Bq/kg以上の地下水が療養泉(放射能泉)と、それぞれ定義されている。ラドンは希ガスであり、空気中に揮散しやすい。
  本研究では、三重県三重郡菰野町に位置する放射能泉を利用する宿泊施設において、実際の利用水中のラドン濃度の存在実態を調査するとともに、その利用に伴う人体影響を把握するために、その水中ラドン濃度をもとに実効線量を評価することとした。
  源泉タンク水と稼働中の浴槽水における水中ラドン濃度を測定した結果、配湯直後には源泉タンク水に比べて5.3~18.0%、また、配湯2日後には0.3~0.4%のラドンしか残存していなかった。ラドンは放射性の希ガスであり、容易に空気中に揮散する化学的性質を有する。このことから水中ラドン濃度の減少の原因は、ラドンの放射壊変だけでなく、入浴や循環ろ過処理などによる気相への移行の促進が大きいと考えられる。
  実態調査によって得られた水中ラドン濃度をもとに、その宿泊施設の利用による実効線量を計算した。その結果、入浴に伴うラドン吸入に伴う実効線量が2.8~12.0nSv、飲用に伴う実効線量が5.1~23.3nSvであった。施設利用に伴う全体の実効線量を評価するためには、空気中に散逸したラドンに起因する実効線量を求め、本研究で得られた成果と総合して人体影響を評価することが必要である。
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© 2013 日本温泉気候物理医学会
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