日本医真菌学会雑誌
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総説
肺アスペルギルス症の診断
髙園 貴弘
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2023 年 64 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

 肺アスペルギルス症は,免疫状態が低下した症例や呼吸器系の基礎疾患を有する症例に発症する難治性の呼吸器感染症であり,病状進行の期間,基礎疾患により侵襲性肺アスペルギルス症と慢性肺アスペルギルス症に大別される.診断には臨床的な背景,画像所見からまずは疑うことが重要である.そして,喀痰の糸状菌真菌培養の感度が低いこともあり,気管支鏡検査(病理学的検査,培養検査)の実施は重要であるが,全身状態や血球の状態から回避される症例も多い.そのため,補助診断法の意義は大きい.侵襲性肺アスペルギルス症では,ガラクトマンナン抗原検査の精度が比較的高い一方で,慢性肺アスペルギルス症では同検査の精度は低い.さらに比較的感度が良好な沈降抗体検査も保険承認が得られていない点も問題であり,今後のアスペルギルスIgG抗体の保険承認や,新規診断法の開発が望まれる.

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© 2023 一般社団法人日本医真菌学会
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