抄録
帯電制御剤(CCA),バインダーポリマーおよび着色剤を混練し,得られたフレークを粉砕分級することによりトナーは製造される.トナー製造工程の途中で得られる上記フレークの破断面を電子線で走査し,CCAの構造中にのみ含まれる元素(Cl,Zn)からの特性X線強度を測定する(EPMA)ことによりフレーク破断面におけるCCAの分散状態に関する知見が得られた.
さらにEPMAにより得られたCCAの分散性データを画像処理することにより,フレーク中に分散されたCCAの体積平均等面積円径を求めたところ,トナーの非磁性一成分帯電量との間に相関が見られ,帯電量を最大にするCCA体積平均径が存在した.
またXPS測定から,トナー表面のCCA密度はトナー全体のCCA密度より大きいことが判った.トナー粉砕時にCCAの部分で割れたためか,トナー粉砕時に微粉砕されたCCAがトナー表面に再付着したためと考えられる.
EPMAとXPSがトナー中およびトナー表面におけるCCAの定量的解析に有効であることを示した.