日本画像学会誌
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論文
昇華型レーザー熱転写の記録特性(V)
—光熱変換材料の検討—
木下 正兒Katsuyoshi HOSHINO北村 孝司
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2000 年 39 巻 4 号 p. 400-407

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抄録
高解像度化と濃度階調表現の両立が可能な染料昇華型レーザー熱転写記録について,その記録機構の解明を中心に検討を行っている.
 本報では,本記録方式に用いる積層型インクシートの光熱変換層に注目し,光熱変換材料を変化させてインクシートを作成した.染料転写実験の結果,光熱変換材料により階調特性に違いが見られた.光熱変換層の吸収スペクトルはレーザー照射前後で変化し,レーザー照射時間に依存して近赤外域での吸光度の減少が確認された.インク層表面の時間分解観察により,レーザー照射中においてインク層の溶融変形が観察され,材料によってインク層の穴あき現象の開始時間に差異が認められた.これらの事実より,光熱変換材料はレーザー照射中から熱分解,光退色,結晶転移などが生じてレーザーの波長での吸収率が減少し,結果としてレーザー光の利用効率を低下させると考えられる.
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© 2000 一般社団法人 日本画像学会
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