抄録
電子写真用のトナーは,従来より知られている材料を混練した後,粉砕して所定の粒度のものを得る,いわゆる粉砕トナーに加えて,近年,種々のケミカル加工法により製造する,いわゆるケミカルトナーが市場に普及し始めた.それにつれて,トナーは今後,どういう方向に進むのか,トナーの製法としての本命は何か,等の議論が盛んになってきている.筆者の所属するキヤノンでは粉砕法と懸濁重合法との2種類のトナーを開発・製造して上市しているが,いずれのトナーも,一貫してトナーに要求される,(1)高画質安定化(2)省エネ定着(3)環境負荷軽減(4)低ランニングコスト化という4つの大きな課題を解決すべく開発が続けられており,その製品の要求に最も適合できるトナーが総合的に判断されて用いられる状況である.