抄録
メタルベース有機トランジスタ(MBOT)は縦型トランジスタの一種であり,単純な積層構造であるにも関わらず,一般的な横型有機トランジスタと比較して,低電圧で大電流を変調することができる.本稿では,従来のMBOTで課題であったOn/Off比の改善手法と,これまで明らかにされていなかった周波数応答特性の測定結果とについて報告する.アルミニウムベース電極作製後に加熱処理を行うことで,Off電流が3桁程度減少し,On/Off比は105以上に向上した.また,周波数特性はベース—エミッタ間の容量成分によって支配されており,作製素子の実測値から,遮断周波数は200kHzと見積もられ,一般的な横型有機トランジスタと比較して,高速で動作することが明らかになった.遮断周波数を見積もる素子電流を用いた考察から,今後の改良によって,MHzオーダーで動作する可能性が示された.