日本画像学会誌
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原著論文
電気泳動表示方式に用いられる非水系液体中の泳動現象に関する実験検討
—電界印加時の電気二重層の挙動—
安部 誠祐軽部 宏明面谷 信
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2009 年 48 巻 1 号 p. 3-8

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抄録
電子写真用の液体トナーや電気泳動表示方式等に用いられている非水系液体中の電気泳動現象に関し,粒子周囲に形成される電気二重層の挙動について実験により検証した.平行電極を用いた各種溶液への電界印加による電極電位の計測結果より,無極性溶媒に金属石鹸と粒子を加えた溶液では,両電極ともに電極印加電圧とほぼ同じ絶対値の電位までの急速な電位変化が見られるのに対して,無極性溶媒のみ,または無極性溶媒と微粒子,または無極性溶媒と金属石鹸の各溶液ではそのような結果は得られなかったことから,本実験系において粒子の駆動力源となる粒子電荷は,主に金属石鹸によるイオンから供給されると考えられる.また,無極性溶液のみでの電極電位変化は,ほとんど見られないことから無極性溶液に自然混入する微量水分由来のイオンが粒子電荷として寄与する部分はほとんどないと考えられる.また,無極性溶媒に金属石鹸と粒子を加えた溶液で両電極ともに同様の電位変化が見られることから,粒子の周囲に形成された電気二重層は粒子の駆動力源となる正イオン群と電気二重層から脱離して粒子と反対方向へ泳動する負イオン群に分離したと考えられる.
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© 2009 一般社団法人 日本画像学会
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