抄録
本研究では並列化DEMを用い,2成分電子写真システム現像槽内の粒子挙動の解析を行い,トナー付着力,および,静電気力が攪拌挙動に及ぼす影響を検討した.計算粒子数は約33万個(トナー濃度:1.0wt%),総計算ステップ数は7500万ステップである.粒子間付着力や静電気力を考慮しないとき,トナーは攪拌時間の増加に伴い,外壁近傍に偏析した.しかし,付着力,静電気力を考慮した場合は,トナーはキャリア粒子間に存在し,多くの接触点が確認された.しかし,キャリア,トナー間の新たな接触は,帯電量を考慮しているもの方が小さく,さらに,攪拌時間の増加とともに減少した.このことより,帯電したトナーはキャリア粒子表面に付着したまま運動しており,時間の増加に伴い,トナー・キャリア間の電荷移動は減ると考えられる.このことが,実験において帯電量が飽和する原因と考えられる.