抄録
液体現像技術は,電子写真技術においてオフセット印刷に近似の高画質が得られる可能性を持ち,その優れた潜在能力は広く認められている.しかしながら,乾式電子写真プロセスを用いたPOD (Print On Demand) 技術による商業印刷業界への進出が目覚しい中,現時点において液体現像プロセスを用いた同様の製品は非常に限られたものでしかないのが現状である.また,これまでに液体現像方式を用いた試作モデルがいくつか提案されており,実用化されていないものも含めて多様なアプリケーションに向けた研究がなされているものの,本格的に市場に投入されるにいたっていない.大きな可能性を持った液体現像技術が真に実用化されるためにはどのようなアプローチが必要であるのか,液体現像技術の変遷を振り返りながら,その技術的な特徴について整理し,今後取り組むべき課題についてまとめた.