インクジェットの歴史を振り返るとともに,各方式の記録原理と特徴を説明する.さらにこれらの方式の現況を簡単に紹介する.次にインクジェットプリンタの基本性能向上と,課題解決のために1980年代から導入された新規技術,および導入の背景をまとめる.
シンプルなプロセスを特徴とした機能集中型のマーキング技術であるインクジェットは,主に基本構成要素技術の性能向上や機能付加に依存しながら発展し,応用領域を拡大してきた.基本構成要素技術の性能向上の鈍化が見られる現在,これまでの発展モデルでこれまでと同じ方向に進んだ場合,大きな成長は望めない.
今後もインクジェットの成長を持続するためには2つの進むべき道が残されている.1つは基本構成要素技術の性能向上による機能集中型のまま価値提供を続けられる応用へ成長の方向を変更することであり,もう1つは周辺技術を付加し,機能を分担してより上位の課題解決を図る,すなわち 「機能分担型」 マーキングへ成長モデルを変換することである.