抄録
直接感熱記録法は,他の記録方式にはない特徴を有する.即ち,直接感熱記録材料は,記録材料中に,加熱により自ら色素を生成する機能を内包しているため,インクやトナー,現像液などの消耗品の供給なしに画像記録が可能である.結果,非常に小型,軽量,簡便で信頼性の高い記録システムを構築することができる.この特長故に,キャッシュレジスタ,券売機,ファクシミリなどに多く導入されてきた.
フルカラー記録に代表される,高付加価値直接感熱システムの開発も並行して,ここ20年の間に行われている.しかし,これらの多くは必ずしも商品として成功していない.その理由として,付加価値を上げるためにプリンタや材料が複雑化し,直接感熱記録システムの特徴である簡便性が失われたことがあげられる.