色差ΔE*ab (CIE1976) は色によってその数値と視覚的な印象が一致しないことが知られている.この問題に対し,CIEでは現在CIEDE2000色差式を推奨しており,数値と視覚的な印象との一致がよいため近年産業界で利用されつつある.しかしこの色差式はマンセルN5を背景として色差評価を行った結果をもとに開発されているため,印刷物のような白紙背景での利用には適さない.そこで本研究では印刷物での利用を考え,普通紙白紙を背景とした許容色差式を開発することを目的とした.実験は色の三属性である明度・彩度・色相をそれぞれの方向に色を変調させたときの色差評価を行い,その結果に基づいて色差式を導出した.また,導出した色差式とCIEDE2000との性能確認を行ったので,それについて報告する.