2017 年 56 巻 4 号 p. 360-365
VRやARによる疑似三次元ディスプレイの開発が盛んである.しかし視差による疑似的三次元像の形成は所謂三次元酔いの原因となり,生理的不快感を感じさせる場合がある.また,ゴーグルなどの特別なデバイスを装着したり,視認位置が限られていたりする.多くの人が何の備えもなく,同時に視認できる,文字通り何もない空間にスクリーンレスで三次元像を描画することは,画像関係者の長年の夢であった.我々はパルスレーザーを用いたプラズマ発光により,スクリーンレスでの三次元像描画が可能であることを世界で初めて実証した.更に,より高精細な動画の描画ができるようコンテンツと装置開発を進めてきた.ここでは,空中可視像形成技術の描画原理と構成,および実証機であるAerial 3D Displayと小型汎用機であるSRV (Super Real Vison) を紹介し,今後の展開について述べる.