2018 年 57 巻 3 号 p. 327-333
サーマル記録は,サーマルヘッドと感熱記録材料からなる,極めてシンプルな構成である.1960年代に基本技術が発明され,今日まで改良が続けられてきた.その結果,市場も着実に拡大してきた.
今日では,我々の周りにさまざまなサーマル記録システムが満ち溢れている.例えば,写真プリント,IDカード,医療写真,ラベル,レシートなど,その多くがサーマル記録に置き換わっている.これらの市場では,そのシステムが小型·軽量·高信頼·安価であることが必須である.サーマル記録は,この要求を全て満たすことができる.
本稿では,サーマル記録技術の,ここ10年の技術進歩と,その進歩により生まれた新しい市場について紹介する.
サーマル記録技術は,今後も,その特長を際立たせるための基礎研究と,市場ニーズを実現するための応用研究の強化を両輪として,ますます発展していくことが期待される.