2020 年 59 巻 4 号 p. 395-403
2000年代に入りマイクロカプセル型自己修復材料をはじめとして様々な原理からなる自己修復材料が報告されており,自己修復材料は持続可能な社会の実現に欠かせないものとして注目を浴びてきた.自己修復性の実現により資源の節約,環境問題の低減,材料機能性の長寿命化等が期待される.自己修復性高分子材料の実現するために,可逆性架橋を用いる方法がよく利用されてきた.近年,さらに精密に設計した共重合体を作製しセグメント同士の相互作用を活用する研究も報告されている.本総説では,自己修復性高分子材料の歴史における重要な研究と近年の展開を紹介·解説する.