インクジェット作像システムの開発において高画質を実現するためには,目標通りの位置とサイズでインクドットを並べる必要がある.隣接するドット同士が干渉し,ドットの位置や大きさが目標から変わると,画像に粒状のむらを生じる品質劣化の一つであるビーディング現象などが発生する.これを避けるため,着弾したインク滴を素早く広げ,素早く固化させることで,ドット同士の干渉を防ぐことが行われている.ドット同士の干渉の結果は画像品質で確認できるが,画像品質には様々な要因が重畳しており,画像品質によってインク滴が狙い通りに固化したかどうかを判別することは難しい.インク滴の固体化状態とそこに至るのに要する時間を知ることは,画像形成プロセスの適正化を効率的に行うことに繋がる.本報告では,上記を実現する手段の一つとして,動的光散乱法を用いて着弾後のインク滴の増粘過程の計測を行った.インク滴の濡れ広がりと増粘過程との関係が把握でき,インク滴が作像プロセス中で意図した挙動を取っているか直接確認することができるようになった.