2020 年 59 巻 5 号 p. 528-535
本稿ではリコーにおけるモデルベース開発 (MBD) について解説する.MBDはシミュレーションモデルを用いた検討を設計プロセスの上流で行う手法で,試作機を用いた検討に比べ自由度が高いのが特徴である.当社開発事例のうち電子写真系でのMBDの例を5例紹介し,MBDでは複数の物理領域を網羅する連成計算を重視する必要があることを説明する.また,筆者らのグループが開発した連成解析環境FRONTIAと,その計算で用いるモード合成法およびモデル節点拘束手法について解説する.この手法は設定および使用が容易なことを特徴とし,この手法を適用した連成計算の一例として,電子写真系の慢性課題であるバンディングの一要因であるビームスポット位置変動を推定した事例を示す.