生物多様性保全の観点から,21世紀は,SDGsの達成に向け,環境に配慮したものづくりが求められている.我々の生活を彩り鮮やかで豊かにしてくれる染料や顔料などの色材においても,人の健康や環境に有害になるものは,安全な材料から成る代替品に転換しなければならない.自然界では,毒性が懸念される重金属や化合物を使用せずに,様々な色合いを示す安全で退色性の低い構造発色性材料を既に活用している.本稿では,我々人間が,これまでの生活において利用してきた従来の色材に遜色ない鮮やかな色相で,角度依存性のない構造発色性材料を,安全で安価な白色と黒色の物質からできた素材のみを用いて作れることについて紹介する.