2023 年 62 巻 1 号 p. 23-34
デジタルアーカイブは資料の保存・記録の価値が注目されるため,その共有や連携に関しても,アーカイブ機関に収蔵された資料同士を共有するためには,どのような連携が必要かという資料中心型の議論に陥りやすい.資料の保存・記録はデジタルアーカイブの最も重要な役割の一つであるが,一方で,活用の促進には,誰がどのように使うのかという活用者側の視点も不可欠であり,その中でも実世界とデジタルアーカイブを結びつける方法論や実践が求められている.本稿では実世界である地域社会の課題や未来を考えるために景観写真のデジタルアーカイブがどのように貢献できるかについて実践例を紹介する.はじめに「景観」と「景観写真」の用語の定義について整理し,その後,「京都の鉄道・バス写真データベースのデジタルアーカイブと活用」と「スマートフォンアプリメモリーグラフを用いた今昔景観比較」の2つの実践例を通して,見えてきた課題と今後の展開について述べる.