2023 年 62 巻 1 号 p. 47-58
本稿は,三次元計測技術を利用したデジタルドキュメンテーションと,3Dデジタルデータの利活用手法に着目し,文化資源のデジタルアーカイブについて概観する.博物館など文化施設は,コレクションや研究資料の保存のため,デジタルアーカイブを構築してきた.デジタルアーカイブの中には,三次元計測により取得されたデータや,その他の3Dデータも含まれるが,フォーマットやハードウェア・ソフトウェアの制限により,データの利活用は進まずにいた.技術の変遷とともに活用の幅が広がってきており,コレクションの解説や研究成果の公開のため,VR (virtual reality) 作品など,3Dデジタルアーカイブデータを用いたコンテンツが開発されてきた.三次元計測技術が文化資源の分野に導入され,適用されてきた変遷をたどり,3Dデジタルアーカイブデータの特性や,データ利活用の発展について解説する.