本稿では微小な昆虫標本の2次元および3次元アーカイブを目的とした画像処理技術の動向と写真計測により標本を3次元モデル化した実例について解説する.まずデジタル写真処理技術を俯瞰し,続いて昆虫標本のデジタルアーカイブにおいて特に重要となる「深度合成」と「フォトグラメトリ」に関して,その歴史・技術内容・現状・展望を述べる.最後に,ホウセキゾウムシ標本を写真撮影により3次元モデル化した実例について紹介する.ここでは,微小物体を正確にモデリングするため,深度合成とフォトグラメトリを統合した手法 (マイクロフォトグラメトリ) を利用した.本稿で紹介した各技術による作品をインターネット上に公開したので参照してほしい.