銀薄膜に硫化カリウムなどの硫化物を反応させ,硫化銀層の薄膜干渉により様々な色を発現させる技術を開発している.この着色銀薄膜を,いわゆる加飾技術分野で応用することを検討しているため,加飾銀薄膜と呼ぶことにする.この加飾銀薄膜は硫化銀が水に不溶性で銀イオンを溶出しないため,通常の銀薄膜のような抗菌性を示さないと考えられていた.しかし,先行研究において,この加飾銀薄膜も従来の銀薄膜と同等の抗菌活性を有することを,数種類の細菌を用いた実験で確認している.本研究では,新型コロナウイルスに類似のウイルスであるバクテリオファージϕ6に対する抗菌活性を評価したところ,加飾銀薄膜はこのウイルスに対しても銀薄膜同等の抗ウイルス性を発現することを確認した.