日本画像学会誌
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最新号
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巻頭言
論文
  • 木下 喬之, 佐野 翔一, 永瀬 隆, 小林 隆史, 内藤 裕義
    2024 年 63 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    CdSe量子ドット (quantum dot, QD) を用いたITO/poly (3,4-ethylenedioxythiophene) polystyrene sulfonate /正孔輸送層/QD/電子輸送層/Alなる構造のQD発光ダイオード (quantum dot light emitting diodes, QLEDs) を作製し,さらに,機械学習による効率予測を行った.このQLEDsの効率支配因子を明らかにし,高効率QLEDsを実現するため,デバイスシミュレーションにより生成したデータを用いて,電子物性と発光効率の関係を機械学習させ,QLEDsの効率を予測する機械学習モデルを構築した.この結果,実験的に得られた効率支配因子の妥当性を示すことができ,さらに,QLEDsの高効率化のための正孔輸送層の電子物性を予測することができた.

  • 次田 将大, 野間 海生, 青木 稜, 前田 秀一
    2024 年 63 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
    ジャーナル 認証あり

    導電性部としてポリピロール,分散剤としてインジウムスズ酸化物 (indium tin oxide, ITO) ナノコンポジット粒子を使用した導電性インクを合成した.酸化剤として塩化鉄 (FeCl3) と過硫酸アンモニウム ((NH4)2S2O8) を使用した.ポリピロールとITOのナノコンポジットは水中で凝集するポリピロールを水中に安定してコロイド分散させることに成功した.ポリピロール-ITOナノコンポジットのサンプルは,導電度は四探針法,元素分析 (EA),動的光散乱 (DLS),X線光電子分光法 (XPS),および走査電子顕微鏡 (SEM) など,異なる技術を用いて測定された.ポリピロール-ITOに対する酸化剤の比較検討をした.塩化鉄を酸化剤として含むポリピロール-ITOのサンプルは,酸化剤として過硫酸アンモニウムを含むものよりも高い導電度を示すことが観察された.

  • 深井 潤, 吉水 宏文, 弘中 秀至
    2024 年 63 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    円筒壁に囲まれた溶液膜の乾燥過程を数値解析し,溶質濃度差に起因して発生するマランゴニ (Marangoni) 対流が自由表面の変形に及ぼす影響を検討した.マランゴニ対流が生じない条件では,自由表面は球冠を保ちながら乾燥が進行する.その結果,自由表面がまず基板底面中心に達し,引き続いて中心から壁面に向かって薄膜が形成される.一方,マランゴニ対流が生じる場合,マランゴニ力が自由表面を変形させ,中心部で平坦化する.液体積が20%まで減った時点で,壁面近くで窪みが発生する.膜の周辺に窪みが発生することは既報の実験で観察されている.解析はこの窪みがマランゴニ変形に由来することを示唆している.さらに,マランゴニ変形によって生じるバルク流れの発生機構を考察した.

  • 門永 雅史, 坂東 佳憲, 瀬尾 学
    2024 年 63 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    インクジェットノズル部での乾燥によるインク増粘現象を,実験とシミュレーションにより解析した.インクジェットでは,ノズル部でのインクは乾燥が遅く,一方メディア上に着弾したインクは速やかに乾燥することが望まれている.増粘対策としてキャッピング,メニスカス搖動による濃度平均化,ノズル部近傍への循環路設置などが知られているが,いずれの対策においてもインク乾燥による増粘過程を理解することが重要である.レーザードップラー振動計を用いて,ノズル部インクの蒸発による増粘過程の計測を行い,デキャップ時の増粘傾向とメニスカス搖動による増粘抑制効果を確認した.また1次元移流拡散シミュレーションにより増粘過程を再現可能であることを確認した.さらにシミュレーションによりメニスカス搖動による増粘抑制効果を確認し,本解析がインクジェットヘッド設計に有用であることを示した.

  • Shota TSUNEYASU, Rikuya WATANABE, Yuki OTOMO, Kojiro UETANI, Nobuyuki ...
    2024 年 63 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    The electric field excitation type powder electroluminescent (EL) device has excellent environmental resistance, it is expected to be applied to a multifunctional surface emitting device. We have reported that the EL properties in bottom-emission structured powder EL device are determined by both the substrate surface roughness and transmittance. However, it was not possible to evaluate the effect of these substrate properties on the EL properties separately. To clarify the effect of surface roughness, we fabricated a top-emission structured powder EL device, which is unaffected by substrate transmittance, on an abrasive paper. As a result, the EL properties increased inversely with decreasing surface roughness. Furthermore, the electric field analysis indicates that the changes in film thickness resulting from surface roughness determine the EL properties.

  • Yoshiyuki ASAYAMA, Toshiharu ENOMAE
    2024 年 63 巻 1 号 p. 44-56
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    In order to protect the global environment from global warming and ocean plastic problems, it is necessary to use sustainable resources and be able to recycle them. Therefore, we considered making it transparent like plastic while taking advantage of paper's recyclable properties. In order to make the paper transparent, a resin with a refractive index close to that of paper was selected, and the type of pulp was optimized. It was also found that whether or not it can be recycled is determined by the resin content.

    Furthermore, we investigated ways to increase visual transparency by printing a checkered pattern reminiscent of a black screen door, and found that printing a checkered pattern increases transparency. This is thought to be because while the reflectance of the surface decreases, transmitted light becomes difficult to diffuse. This was confirmed by measuring the degree of diffusion of transmitted light.

速報
  • 中村 知亜梨, 佐々木 波流, 船津 小麦, 田原 歩那, 前田 秀一
    2024 年 63 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    銀薄膜に硫化カリウムなどの硫化物を反応させ,硫化銀層の薄膜干渉により様々な色を発現させる技術を開発している.この着色銀薄膜を,いわゆる加飾技術分野で応用することを検討しているため,加飾銀薄膜と呼ぶことにする.この加飾銀薄膜は硫化銀が水に不溶性で銀イオンを溶出しないため,通常の銀薄膜のような抗菌性を示さないと考えられていた.しかし,先行研究において,この加飾銀薄膜も従来の銀薄膜と同等の抗菌活性を有することを,数種類の細菌を用いた実験で確認している.本研究では,新型コロナウイルスに類似のウイルスであるバクテリオファージϕ6に対する抗菌活性を評価したところ,加飾銀薄膜はこのウイルスに対しても銀薄膜同等の抗ウイルス性を発現することを確認した.

Imaging Today
  • 松井 康祐
    2024 年 63 巻 1 号 p. 62-71
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    ヨーロッパで4年に一度 (アジアでは2年に一度) 開催されている,繊維関連機械展示会ITMA (International Textile Machinery Association) がミラノで予定通り開催された.この展示会は,糸を作る機械から,布を織ったり編んだりする機械,プリントする機械など,ありとあらゆる繊維機械の展示会である.コロナ禍でアジアでのITMAは2019年以降行われておらず,世界的にも久しぶりの繊維機械展示会となり,従来の展示会とは異なる新しい方向性を見ることができた.本稿では,今回の展示で主流となった顔料プリントへの各社の対応や,激減したシングルパス印画機と,増えてきた大型スキャン機への対応,また,両面,立体,メタリックなどの新しい加飾印刷への展開など,ITMAで見えてきたテキスタイルプリントの未来について報告する.

  • 岡本 慶子
    2024 年 63 巻 1 号 p. 72-80
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    ITMA (Textile & Garment Technology Exhibition) は繊維関連機械国際見本市で,染色技術研究者の成果発表の場であり,最先端技術の展示場である.そして,想定される顧客はその技術を搭載した繊維関連機械を導入する工場である.そのITMA2023のプリント・インク展示場を,繊維・アパレル業界の「テキスタイルを作る顧客,使う顧客,消費する顧客」という立場から視察した.

    流通が短くなったにもかかわらずデジタルトランスフォーメーションの進まない日本の繊維・アパレル業界において,インクジェットプリントはまだ効率的に,そして有効に利用されているとは言い難い.繊維・アパレル業界とインクジェットプリンターメーカーに働く人々のお互いの理解を深めることなくして,デジタルテキスタイルを世の中に広めることは難しいと考える.

    インクジェットプリンターメーカーはデジタルテキスタイルをファッション,および繊維・アパレル業界の未来にどのように位置づけようとしているのか.繊維・アパレル業界はインクジェットプリンターをどのように利用することができるのか,展示から受け止めたことを共有し,さらに日本の繊維・アパレル業界の立場から,インクジェットプリンターメーカーに期待する役割を提言する.

  • 濱野 公達
    2024 年 63 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    コロナ渦を経て,社会は物質面のみならず価値観も加速度的に変容を遂げようとしている.その中で行われたITMAはいわばマクロ的視点に基づくメーカー主導型の展示会であった.本展示会のインクジェットプリンタの特徴として,サスティナブルという潮流においての顔料プリンタの進展,付加価値プリントの勃興をあげることができる.つまりは装置産業化の加速度的進展である.

    本稿ではまず染工場の立場としてITMAを振り返る.同時に見えてきた染工場としての今後の方向性,方向性並びに対面環境から想定しうる課題,そして導き出された課題からメーカーに今後期待することを論じたい.

  • Roberto USAI
    2024 年 63 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    Speaking about textile digital printing today and the technologies used within this market looks a little bit odd at the first sight. In a such competitive and growing market the expectation is to have some new emerging technologies every year, like in any digital revolution, but the reality appears to be quite different with technologies well established and nearly identical to the ones used in early 2000. In particular, we have got great steps forward in printing speed and inks reliability but the overall process and the print quality are not so different than the Mimaki TX1 of the 1999 based on EPSON printheads.

  • 稲田 寛樹
    2024 年 63 巻 1 号 p. 94-98
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    布帛上へのパターン印刷を意味する捺染は主にスクリーン印刷により行われている.インクジェットプリンターによるデジタル印刷は2000年以前に始まっているもののデジタル化の進展は遅く,その比率は現在でも数%に留まっている.従来のインクジェットプリンターでは生産速度がロータリースクリーン印刷によるコンベンショナル捺染の数分の1程度であり,これがデジタル化への律速となっていた.近年シングルパス印刷技術を応用した高速インクジェットプリンターが開発され,デジタル化への転換が加速されている.また,ITMA 2023では環境負荷低減とサプライチェーンの変革を企図する顔料インクの出展が増加した.本稿では,直近のデジタル捺染の動向について解説する.

  • 藤森 信幸
    2024 年 63 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    いま,社会が,テキスタイル業界が,捺染サプライヤーに求めていることは,サステナブルな製品・生産体制であること.そして,人と環境を守り,地球の未来を考えた取り組みができているかということと認識している.

    廃棄・水質汚染・過酷な労働環境と繊維業界の抱える問題は多い中で,業界関係者はSDGsにあげられる項目の多くに適合し,安全で安心な商品を消費者に届け,また,使用後は再生し,糸に戻し,また,布を製造するという循環型社会の構築が至上命題となっている.

    その中で,各国は,水質,化学物質,廃棄における法規制を強化しており,かつ,安全性証明には,OEKO-TEX® (エコテックス®) などの認証も徐々にではあるが,要求項に入ってきている.

    本論文は,デジタルテキスタイルを取り巻く各種規制について説明するものである.

  • 勝倉 禎治
    2024 年 63 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2024/02/10
    公開日: 2024/02/10
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    ブラザーは,2030年度に向けたブラザーグループビジョン「At your side 2030」で,産業用領域の拡大を掲げている.そして,このビジョン達成に向けた2024年度までの中期戦略「CS B2024」では,「未来の事業ポートフォリオ」の創出に向けて,「インクジェットを核としたプリンティング技術の進化,応用範囲の拡大」を目指して活動を推進.

    このたびブラザーが初めてサイン・ディスプレイ用途向けに開発したラテックスワイドフォーマットプリンター「WF1-L640」は,布に印刷するガーメントプリンターの開発などで培ってきたインクとプリントヘッドの自社技術を生かして新たな領域に挑戦する製品となっている.

    「WF1-L640」で採用している新開発のラテックスインクは,広い色域を実現し,表現豊かな発色を実現しながら,屋外での広告物などに使える高い耐候性を持つとともに,水性インクであるため環境に優しく,また,飲食店や教育機関,医療機関などでも安心して使用する事ができる,エコフレンドリーな製品となっている.

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