2024 年 63 巻 3 号 p. 273-278
インクジェットプリンティングにおける液滴浸透領域はプリント品質並びにエネルギー効率に影響することから,浸透域制御はインクジェットプリントの高性能化に向けて重要である.高精度な浸透制御の実現には,インク浸透挙動 (液滴浸透挙動) の解明が必要であるが,既存研究の多くは,液滴浸透域の計測は表面もしくは断面からの2次元的な計測に限られていた.著者らの研究グループでは,X線CT (computational tomography) 撮影が可能なX線造影インクと,高解像度X線CT計測プロセスを開発し,単一微小液滴の各種メディア内部における浸透領域の計測を可能とした.本稿では,このX線CT撮影技法について述べると共に,染料ならびに顔料インクの浸透特性を解説する.