2025 年 64 巻 4 号 p. 324-335
3Dプリンターに代表されるAdditive manufacturing(AM)技術において,機械特性(特に強度)はその用途を決定するほどに重要である.Material jetting(MJT)方式は,その機械特性が低いことが原因で,これまでは型作成や試作用途に限定されてきた.そのような中,株式会社リコーでは高強度でフルカラー樹脂造形が可能な技術を開発した.インクへフィラーを添加することによりMJ造形物の強度を向上させるため.我々はフィラーのサイズ,形状,表面修飾特性,モノマーの配合を最適化した.カラー化プロセスについても,小滴のカラーインクの上にクリアインクを重ねて印字することにより,フィラーが添加されたインクの強度を損なわずに着色する手法を開発した.曲げ強度としては無色造形物で180 MPa,カラー造形物では177 MPaを達成した.これは典型的なMJTやVPP(Vat Photopolymerization)造形物の強度である80 MPaと比べて大幅に高強度であると言える.本技術を応用することにより,人工歯,義歯,眼鏡フレームなどの審美性と強度の両方を要求する部品を,3Dプリンターで直接製造することができる.