私たちが2008年から取り組んできた視覚障害者向けの地図「触地図」に関して3点に分けて紹介する.1点目は触地図自動作成システムの開発である.任意の場所の触地図を瞬時に作成できるこのシステムにより,視覚障害者個人ごとの要望に応えることができるようになった.2点目はこのシステムを活用した触地図作成サービスと「触地図を作る会」についてである.個々のニーズに応じた触地図の作成サービスは国内では初めてで,現在でも唯一のサービスである.3点目は3Dプリンタの触地図作成への導入である.3Dプリンタを使うことで立体的かつ直感的な事物の表現が可能となり,触地図の有効性を高めている.その反面,作成に要する時間が長いという課題もあり,用途と必要数に応じた使い分けが求められる.