抄録
本論文では,コロナ放電を全く用いず(オゾンを生成せず),さらに廃トナーの生じない新しい電子写真プロセスを提案する.現像の実験には膜厚が6μmと従来の感光体よりも非常に薄い直径30mmのa-Si感光体と,磁性絶縁性トナーと磁性導電性キャリアからなる2成分現像剤を用いた.感光体の帯電は導電性キャリアを通して行い,これと同時にLEDヘッドによって画像形成を行う.トナーは絶縁性であるため,導電トナーを用いたプリント方式で問題になっていた転写が容易に静電的に行うことができる.本方式で,感光体周速5cm/s,印加電圧60Vで,画像濃度1.3を達成した.さらに,感光体のキャリア伝導を考慮し,感光体の表面電位の変化を計算した.その結果,キャリア移動度の高いa-Si感光体が本システムに非常に適していることを明らかにした.