日本繁殖生物学会 講演要旨集
第105回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-25
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臨床・応用技術
ガラス化保存マウス未成熟卵の体外成熟・受精後における胚発生能
*藤原 克祥渡邊 ひとみ伊藤 潤哉柏崎 直巳
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抄録
【目的】未成熟卵のガラス化保存は遺伝資源の保存において重要な技術であるが,加温後の生存性,受精能および発生能は著しく低下する。我々はマウス成熟卵のガラス化保存法の改良を行ない、カルシウム(Ca)無添加で凍害保護物質としてethylene glycol (EG)を含むガラス化液で,卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存することにより,加温後に高い受精能・個体への発生能を有することを明らかにした (Kohaya et al. 2011)。本研究では,このプロトコールでマウス未成熟卵のガラス化保存を試みた。さらに,ガラス化保存時における平衡液への平衡時間を調べた。【方法】過剰排卵処置したICR雌マウスから未成熟卵を採取した。ガラス化保存は,採取した未成熟卵をCa無添加PB1に7.5% EGおよび20% FCSを添加した平衡液に3,5,7分間平衡させた後,Ca無添加PB1に30% EG,20% FCSおよび0.5 M Sucroseを含むガラス化保存液に1分感作させ,クライオトップにより行った。未成熟卵は加温後,14時間の成熟培養を行ない,IVFおよびIVCに供した。IVFはBDF1 雄マウスの凍結融解精子を用い,媒精の直後に成熟率および生存率,6時間後に前核期胚率,96時間後に胚盤胞率を調べた。【結果】ガラス化加温したマウス未成熟卵の成熟率は90%以上,生存率は90%前後を示した。前核期胚率は50%前後であり,前核形成した胚はほぼ全てが胚盤胞へと発生した。ガラス化保存時の平衡液への平衡時間は3,5,7分間の間に差は認められなかった。以上の結果より,Ca無添加,30% EGのガラス化保存液を用いてマウス未成熟卵を3分間の平衡時間によりガラス化保存することで加温・IVM/IVF後に高い生存性と発生能を有することが示され、本プロトコールがマウス未成熟卵のガラス化保存に有効であることが示唆された。
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© 2012 日本繁殖生物学会
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