抄録
タンデム方式による50ppmの高速カラーレーザプリンタの開発を行った.4個の感光体ドラムを並べて順次転写するタンデム方式を採用し,用紙搬送には誘電体ベルトを採用した.誘電体ベルトは電荷が保持されるので安定な用紙搬送ができる反面,転写電圧が印加されると電荷が蓄積し,4回行われる転写で転写電圧が高くなる欠点を有していた.このため,理論的に転写の低電圧化と用紙搬送の安定化を検討した.
転写電圧に関しては,転写ベルトの電荷保持性に着目して転写電圧と逆の極性で初期帯電を行い,転写電圧との電位差を大きくして,低電圧転写を可能とした.また,この時の用紙搬送性に関しては,感光体ドラムと接する面の電圧極性を,感光体ドラムの表面電圧の極性と同極性とすることで用紙のドラム巻き込みがない安定した搬送性を実現することができた乙さらに,転写の低電圧化により,用紙を転写ベルトから分離するためにAC分離をする必要がなくなり,搬送ローラの径を利用した曲線分離のみで用紙分類ができた.
これらの技術により,環境依存性の少ないオゾンレスの転写プロセスを実現した.