1999 年 17 巻 2 号 p. 304-317
気功は、中国に古来から伝わる伝統的な健康法と治療法の一つである。調息(呼吸を整えること)は、気功法の中の一方法である。我々はかつて気功の訓練によって、呼吸が著しく減少し、呼気時間は、吸気より長くなることを観測した。閉息呼吸法は、気功法の一つで、身体の「気」のエネルギーのアップと血液循環の改善などの効果があると言われている。本研究では、閉息呼吸法によって調息の鍛練を行い、その効果を皮膚温及び脳波、呼吸、心電図、脈拍などの測定によって検討を行った。その結果、手足の皮膚温は著しく上昇し、脳と自律神経系の働きが深いリラックス状態に入ることを示した。さらに本報告ではこの閉息呼吸法の生理的なメカニズムについても検討を行った。