2000 年 18 巻 1 号 p. 38-47
ISLISと日本催眠学会との共同企画として、催眠と気功の生理データの比較が試みられた。本報は、気功の1種(真気運行法)と催眠状態下のイメージ想起実験について、皮膚電気活動(EDA)と指先容積脈波(PPG)の測定結果を報告する。気功の被験者は「気」を仮想し、気が体内を巡るとイメージした。催眠被験者は、中等度催眠(知覚催眠)まで誘導された後、プラスチック粘土に密封した標的が手渡され、標的に書かれている文字をイメージ想起した。気功被験者のEDA[μS]とPPG拍動数[bpm]は気功開始後から低下し、終了2分前に終端効果と思われる上昇を示した。また、PPG拍動数とEDAとの間には、気功・催眠ともに正の相関が見られ、気功ではγ=0.83(p<0.001)、催眠ではγ=0.62(p<0.001)であった。さらに、中等度催眠への誘導中に負の相関が見られ、γ=-0.47(p<0.05)であった。